#だいぶ前に書いた読書メモを転載
ビジネス契約書の起案・検討のしかた―リスク・マネージメントの道具としての
- 作者: 原秋彦
- 出版社/メーカー: 商事法務
- 発売日: 2002/12
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 22回
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契約書とは
- (経済的)取引条件に関する合意内容の確認。
- 法が許容する範囲内で(「私的自治の原則」の範囲内で)法の原則的ルールを当方に少しでも有利に修正するための道具。
1に尽きるものであれば、申込書と承諾書の交換で済む。
契約書の作成・締結とは、基本的に、当事者間で生じることのあり得る紛争、トラブル、揉め事について、それが発生してしまってからでは円満な話し合いによる解決は不可能、困難であろうと想定される場合に、当事者間の自治的な対処策として、事前に当事者双方が納得できる紛争処理のための規範を条文化しておくということ。
契約条項の基本は「要件」と「効果」の明記
- どういう場合に(要件)
- どちらがどのような権利・義務を有する(効果)
を明記する。どちらかだけでは不十分。
例えば、「甲は、本契約に基づき乙が開発した試作機の評価を行う」だけでは、評価をした結果何なんだよ、という肝心な部分が記載されていないため意味無し。
契約書の起案・検討における注意点
取引の過程で揉め事になりそうなことを事前に想定し、その揉め事をどのように解決していくか取り決めておく、というのが契約書。よって、契約書の検討は広い意味でのリスクマネジメントである。その作業は下記の3段階に分けることができる。
- リスクシミュレーション
- その取引において発生することが想定されるトラブルやリスクを洗い出す。ここで要求されるのは法的センスではなく、そのビジネスの実態についての知識に基づくビジネスセンス。
- リスクの「アセスメント」
- シミュレーションにより想定されたトラブルやリスクの蓋然性と深刻さを評価・検討(アセスメント)する。
- リスクの(狭義の)「マネジメント」
- アセスメントにより検討されたトラブルやリスクの蓋然性と深刻さに応じて、契約書上でどのように対処するかの対策を決定する。
の3つ。
弁護士に相談すべきこと・事前に説明すべきこと
弁護士による法的チェックも上記3段階の検討(リスクのシミュレーション、アセスメント、マネジメント)である。ので、その作業を可能にし容易にするための前提情報を提供する必要がある。具体的には次のような情報。
- そもそも自分の会社はその取引で何を得ようとしているのか、また、相手方には見返りとして何を得させようとしているのか
- その取引で自分の会社としては営業的に何が心配なのか
- その取引の諸々の取引条件の中で自分の会社としては営業的にみて交渉上譲れない一線とは何であり、どの辺にあるのか
- その取引の対象たる商品や役務はそもそもどのような商品や役務であり、また、相手方はどのような会社であり、したがってどういうトラブルやリスクが想定され得るのか
ビジネス契約書の起案・検討のしかた―リスク・マネージメントの道具としての
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